第19章 現実アプローチ
「あーあ、
どっかにいいひと落ちてないかなあ。背はどうでもいいや、お金も、まあ、どうにかなるだろうし、出来れば男以外で。
頭は俺がいいからフォローできるし、あ、でも性格は良くって、もちろん顔は良くって
で、俺には超優しい人。」
晴れ渡った昼下がりの屋上。
私はいつものようにベンチに寝転がり、太陽の眩しさを楽しんでいた。
いつもなら私が妄想を口にしているはずのその場所。
結城くんがわざとらしく溜息をつきながら、私の真似をしていた。
私は寝転がったまま、曲げた足をぱたぱたと動かしながら、
できるだけ結城くんのトーンを真似て、悪戯っぽく口角を上げた。
ほんの気まぐれ。
「ここにおちてますよー。条件緩すぎ」
結城くんが大きなため息をついてベンチで寝転がる私を見下ろす。
「アズサさん、いい性格してますね」
「ほら、言った。いい性格! それに優しい、はい半分どうぞ」
私は結城くんのためにベンチの上で伸ばしていた足を曲げると、小さく開いたスペースに彼が座る。
「そういうのなんていうか知ってます?」
仰向きで寝てたのを身体を起こして今度はうつ伏せになる。
曲げた足をぱたぱたと動かしてると結城君が足首を掴む。
「……何て言うのよ」
うつ伏せのまま、顔だけを少し向けて結城くんを見る。
「確信犯、って言うんですよ」
そう言って、結城くんは掴んだ足首をそっと離し、携帯灰皿を取り出した。