第20章 epilogue 現実プロデュース
仰向きで寝てたのを身体を起こして今度はうつ伏せになる。
曲げた足をぱたぱたと動かしてると結城君が足首を掴む。
「ちょっと、ここでそれやるの、やめて」
「前は良かったのに、今は駄目って。まあいいや。それより、
……アズサさん、そろそろ戻らないといけないんじゃないですか?」
結城くんは他人行儀にそう言って、悪戯に笑った。
「私、煙草1本吸ってから戻る」
「じゃあ、俺先に戻ります」
私が煙草に火をつけると結城君は社内に戻っていく。
彼の背中を見送っていると、屋上のドアをあけたところでこっちを振り向いた。
「今日はアズサの家寄るつもりだから」
ちょうど明日はゴミ出しだ。
いいタイミングだったのは明日の朝まで黙っておこう。
そして、やっぱり、口が裂けても言ってあげないけれど。
条件だらけのイケメンなんて、やっぱりこの世のどこにも落ちていない。
だから、こんな風にくだらないラリーを続けながら過ごす平日の屋上は、
私が妄想したどんな世界よりも、ずっと心地いい現実。
-end-