第15章 付箋の金利
「あーあ、どっかに『身長180センチ以上、顔は国宝級、私を世界一甘やかすためだけに生きてて、かつ、私がタバコを切らした瞬間に新品の箱をスッと差し出してくれる、察しの良すぎるイケメン』、落ちてないかなあ」
ベンチに寝転がり、私は空に向かって、もはやインフラ整備レベルの願望を投げた。
「アズサさん。
察しの良すぎるイケメンはいませんけど、お互いのデスクの引き出しを『タバコ貯蔵庫』にしてる、察しの良すぎる同期ならここに落ちてますよ」
紫煙の向こう側で、結城くんが呆れたように笑う。
ぽん、と私の煙草が宙を舞って手元に来た。
すぐにタバコ切れを起こす私はデスクの引き出しにカートンを入れている。
しかし、それもすぐなくなってしまい手元にない状態であることが何度かあった。
そんなとき、結城くんがお互いの煙草を1個だけ預け合おう、と提案した。
相手のデスクに行けば必ず一箱あるという、保険。
その作戦は大成功。私の煙草切れはそれから起きてない。
「……気づくの早すぎ」
「そろそろかな、と。
消費スピード把握するのもプレミアム仕様の優しさですよ。
引き出し開けると俺の銘柄じゃない箱が鎮座してるんで。
メッセージカードまで添えて」
「メッセージ? 増えるといいなって思ったんだけど?」
私が起き上がると、結城くんは自分のポケットから一通の付箋を取り出して見せた。
そこには私の雑な字で「吸ってもいいけど金利は1日5本」と書かれている。