第2章 〈過去編〉奇妙な演者
部長さんは、あらゆる演出の締め括りとして、最後は確固たる自信を持って私達に宣言した。
「これから君達には、俺達の演劇をぜひ観てもらいたいと思う!どんな感想を持つかは、君たち次第だ!面白くなかったら、途中から帰っても構わない!ただ、俺達は、観客の皆様が少しでも楽しいと思ってくれるよう、どんな時も全力でやるつもりだ!それだけは約束する!」
元気溌剌で活気ある言葉。
照明がなくても光が差し込んでくるような明るい声色。
どこか見覚えがあると思ったら、それはまさしく……
『お兄ちゃんに任せなさい!』
(あ。そうだ。誰かに似てると思ったら……)
一兄と同じ、明るい太陽みたいな人だ。
最初はふざけているような印象で振る舞ったのも、観客の注意を惹くための演出。
ピエロのようにおふさげを演じつつ、その言葉の奥底には並々ならぬ芯を感じられて、仲間や私達への心からの尊敬の念を感じられる。
相手にどう魅せるか。
観客により楽しんでもらうために、最大限にベストを尽くし、どんな努力をも惜しまない。
体育館内を取り囲む演劇部全体の空気から、結束力と一言では片付けられない強い絆のようなものを感じるようになった。
(この部活。私が思ったより全然……)
そしてようやく挨拶のパートが終わると、舞台が暗転した。
幕が上がる機械音に、微かに物を動かす音や人の気配。
明転すると、演者達が配置についていた。
その時間でさえも予想以上に早い。
どれだけ練習を重ねれば、あんな暗闇の中で、決められた場所に人と道具を配置できるのだろう。
そして舞台は始まった。
繰り広げられる役者達の躍動感あるセリフと動き。
花形役者と思われる主役だけでなく、彼らを表立てる脇役や裏方の音響、木の役でさえも、各々の役割を努めている。
誰も、これがただの遊びのお芝居だとは思っていない。
一時一時の間合でさえも、気を抜かずに、最大限のパフォーマンスを披露しようと努力している。
そんな真剣な空気が、舞台下の観客席にまでひしひしと伝わってくる。
(えッ、ちょっ、これ、本当に体験入部…?)
正直、私はたまげていた。