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【FF7】ボクシング・デー

第2章 煙草の味を覚えた日


アグレイスより下の目線になった男の前に立ち、ナイフを振り上げる。が、止めを刺さずに後ろにステップ。小さな火の玉が目の前で炸裂した。

「あああぁぁぁんなあああ!!!!!」

食らったのは、壮年の男。火は瞬く間に大きな炎となり男の体を包んだ。
アグレイスが振り向くと、痩せた男が手の平を向けてブツブツと呟いていた。小さな火の玉が複数アグレイスを狙う。
今度は横に避けてやり過ごすが、避けた先にも火が迫る。

詠唱が早い。持っていた銃器は見せかけで、マテリアが本命か。この魔法攻撃だけに絞れば、新羅のヘタな3rdよりもよほど使えている。精度は今ひとつとはいえ、腰につけた爆弾にでも引火されてはたまらない。

燃え盛る男の悲鳴は人を呼んだ。近隣の民家からこちらを伺う顔が見える。善良な警備の人間が駆けつけるのも時間の問題だろう。

次の火がアグレイスに迫る。だが、今度は避けずに、火に向かって走った。同時にベルトにつけた透明な石から淡い光を放つ。小さな爆撃が彼女の姿を覆った。

痩せた男はそこで手を下ろした。仲間を燃やしたこと、女を狙うことは本意ではなかったが、身を守るためにはやむを得なかった。

彼の懺悔はそこで終わった。

目の前には、爆撃を受けたはずの女。

「ああ、近くで見ると結構……」

喉から血が噴き出して、最後まで言葉は出なかった。
息が苦しくなり、これが最後とばかりに伸ばした手は、女が握りしめていた。

「おやすみなさい」

男は一瞬目を大きく見開いて、ゆっくりと瞼を下ろした。


アグレイスが時計台に戻ると、レノがタバコの箱を弾いていた。

「お疲れさん! デート、楽しめたかい?」

「あなたよりは退屈じゃなかったわね」

レノの軽口にアグレイスが返すと、自然な笑みが返る。
これまでの作ったかのような嫌味な顔が返ってくることを想像していたせいか、調子が狂ってしまう。あらかじめ考えていた軽口は全て飲み込んでしまった。
レノの方もこれ以上何も言うつもりはないらしく、大人しく口にくわえたタバコに火をつけていた。まだミッションの途中だというのに耐え切れなかったようだ。

「レノ、爆弾のときに火はやめろ」

時計台から出てきたルードが、珍しく語尾を強めた。
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