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【FF7】ボクシング・デー

第3章 過ぎた日


淡い光にまどろみながら目を開く。
窓に近いこの場所には、暖房に押し返された冷気が漂っていた。

すぐそばの心地よい熱源に身を寄せ、
それが人の肌であり、なおかつ見慣れた顔を持っていることに気付く。

ぼんやりしていた頭に、ゆっくりと冷静さが戻る。

眠っている姿は、何度も見てきた。
けれども、今日のように穏やかに眠る横顔は初めてだ。

まじまじと眺めて、ふいによぎるのは、熱を帯びた声。
意識した瞬間、頬がじわりと熱を持つ。

昨夜の二人は、境界線が曖昧だった。
ミッションの完遂による安堵感。
クリスマスムードの高揚。
強いアルコールによる酩酊。
そして、ブレーキ役であるルードの不在。

理由を挙げればきりがない。
だが、どれもがそれだけで線を超えるほどのものにはならない。

背中を押したものの正体は、アグレイス自身の中にあった。
見ないふりをしてきた、静かに積もった想い。

息を潜め、シーツ置いた手をそっと滑らせる。
まだ起きないでほしい。
けれども、起きてほしい--相反する感情が交互に胸を満たす。

ドスンッ。

屋根の雪が、重たい音を立てて落ちた。

男の瞼がピクリと動き、ゆっくりとまつ毛を持ち上げる。
どこか夢見がちな表情のまま、アグレイスの額に唇が触れた。

そして、彼女を見る。

「っ……」

目を大きく見開いたまま、表情が凍りついた。

アグレイスはシーツを滑り降り、散らばった自分の服を拾い集める。
素早く身に着けると、扉に手をかけた。

「今日の午後から、ミッションあるから」

涸れた喉から、嘘がひとつ、転がり落ちた。
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