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【FF7】ボクシング・デー

第2章 煙草の味を覚えた日


「武器持ってなかったじゃない。今の民間人でしょう」

「だったら、何が言いたいんだっての?」

おぉ、怖っ--とでも口にしそうなそぶりでアグレイスを見返す。
アグレイスは、苛々を隠さずに足を小刻みに揺らす。

「アンタ作戦わかってんのか?」

アグレイスの横を歩きながらレノが軽い口調で諭す。

「非戦闘地域に潜伏した反体制組織の殲滅」

「おぉ、ちゃんと作戦理解してるじゃねーか。えらいぞっと」

わかりやすい煽りにアグレイスは、憤慨した声のトーンで返す。

「馬鹿にしてるの?」

「してんのはオマエだろ? オマエ今日ここに、何しに来た?」

「……」

レノの鋭い眼差しに貫かれ、アグレイスは首をすくめた。
今回の作戦目的は先に述べたとおりだ。
手段は--

「街の要所に爆弾仕掛けて、一斉にドカンッだぞ、っと。そうなったら、どうなるか、わかんだろ?」

「……」

「ここも火の海だな」

押し黙るアグレイスに代わってルードが答える。

「そういうこと。さっきの奴だって、あの世に行くのが早いか遅いかってくらいだろ」

「だけど……」

尚も渋るアグレイスの両方の頬を手で挟み、顔を覗き込む。

「いい加減、自分の役割を思い出せ」

迫るレノが遠のく。後ろに回ったルードがスーツの首を引っ張り上げていた。

「行くぞ、レノ。遅れれば俺たちも巻き込まれる」

レノを引きずったまま、ルードが駆けだす。

「いてぇって、自分で走っから手ぇ放せよー!」

何か言いたげにアグレイスを見た後、常時の軽口でルードに小声の反抗を始めた。

アグレイスは、爪が食い込むほど手を握り締めた。

脳裏に蘇るのは、レノの言葉。

ーー役割。

忘れてたことは一度もない。
ただ、彼女の感情が前に出過ぎてしまったのだ。
あの男はそれを見透かしたばかりか、彼女を諭した。
未熟な感情に振り回されて、命を落としかねない彼女に慈悲をかけたのだ。

悔しさで涙が滲む。

だが、今のアグレイスはそんなことをしてはいけない。
余計なことには気を割くな。
やるべきことをやるんだ。

アグレイスは、再び走り出した。
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