第1章 偽りの敬礼
リヴァイの腕の中で、私は自分の命が指の間から溢れる砂のように消えていくのを感じた。
「……へい、ちょ……」
「喋るな。今、すぐに……」
必死に傷口を押さえる彼の手を、私は血塗れの指で遮った。もう、嘘を突き通す時間は残されていない。
「ごめんなさい。……地下街出身なんて、全部、嘘です。私は、壁の外から来た……あなたたちの、敵で……」
リヴァイの動きが止まる。
その瞳に、驚愕と、それ以上の深い悲しみが走った。
「……知っていた。お前が、何かを隠していることくらい」
彼は震える声で、私を強く抱きしめた。
「そんなことは、どうでもいい。お前は、俺の……」
「……ありがとう……」
私は彼の言葉を最後まで聞けなかった。
けれど、最後に触れた彼の体温は、冷たいマーレの施設でも、暗い資料室でも教わらなかった、唯一の真実だった。
「あなたの、腕の中で……最後を迎えられて、よかった……」