第1章 偽りの敬礼
壁外調査の混乱の中、それは起こった。
任務を遂行せず、兵団に馴染みすぎた私を処分するため、マーレの工作員が紛れ込んでいた。
巨人の影に紛れ、兵長の背後から放たれた弾丸。
それを視界の端に捉えた瞬間、私の体は思考よりも先に動いていた。
「兵長――!!」
一兵卒には不可能な速度と跳躍。
私は、彼の代わりにその衝撃を胸に受けた。
衝撃で地面に叩きつけられる。視界が真っ赤に染まり、遠くで私の名を叫ぶ彼の声が聞こえた。
「おい、しっかりしろ!……おい!!」
駆け寄ったリヴァイの顔が、絶望に歪んでいる。人類最強の男が、初めて見せるような、子供のような怯えた表情。