第3章 そりゃ神室町とくらべたら日本全国津々浦々が田舎だけれども。
まずは昼食を摂る事にしてあった。
駅前の、市内でいちばん繁華な通りを歩く。あたしは車を回さないから。
「この通りが、この辺りの歓楽街です。
と言っても、夜の店はスナックくらいしかないんですけど」
「閑静なんだな。神室町とはまるで違う」
「そうですね…………
神室町育ちの堂島さんには、退屈な街だと思います」
「そうか? この街にはこの街のいいところがあるだろ」
「あるんですかね…………治安…………?」
あたしは苦笑しながら、「ここは郵便局」「ここは酒屋」と軽く案内しつつ、一件の蕎麦屋ののれんをくぐった。昼食を蕎麦にしたのは、堂島さんの意見を反映しての事だ。
年季のはいった店内で、堂島さんは天麩羅蕎麦を、あたしは鴨南蛮蕎麦を注文して、二人で手繰る。
それから店を出て、手始めにアパレルショップに向かった。