第3章 そりゃ神室町とくらべたら日本全国津々浦々が田舎だけれども。
「田舎だから、ブランドショップとかないんですよね…………
欲しいオシャレ着とかあれば、後で通販しますから」
「生活の面倒を見て貰っている身でそんなもん強請るほど、恥知らずじゃねえよ」
「堂島さんオシャレだから…………
シルバーアクセとか着けてたし」
「若いころの話だろ」
「いまだってお若いじゃないですか」
「…………アンタ、口が上手いぜ」
堂島さんは照れたように、首の後ろを撫でる。
チョロイン、という言葉が脳裏を過った。
……――堂島さんが服を見ている間、あたしも店内をそぞろ歩く事にした。思えば、新しい服も随分と求めていない――……この約二年、あたしは日々を生きる事だけに注力してきた。余所事を考える気力がまるでなくて、ただ生活はしなければならないから、生活の入り費を稼ぐ事だけを考えて日々を過ごしてきた。
(久々に見ると…………楽しいな。
あ、このブラウスかわいい。色もいいな。オイスターホワイトだ。あたしの肌にも馴染みが良さそう…………
…………堂島さんって0の時も2の時も8の時も白い服着てたけど、白、好きなのかな…………
……――あ、イヤ、だめだ、待てあたし、悪い癖だぞ。好みの男と見ると直ぐこれなんだから)
小さく頭を振って、ブラウスをラックに戻そうとして――……結局かごに入れた。
だって、クルーネックをネイビーのラインで縁取ったオイスターホワイトのブラウスは、コンサバティブだが甘過ぎなくて、今のあたしに丁度いい気がしたから。
……――断じて、堂島さん、白好きそうだよな、とか思った訳じゃない。