第3章 そりゃ神室町とくらべたら日本全国津々浦々が田舎だけれども。
「ええ、まあ…………
普段は東京で働いてるんですけど、長期の休暇が取れたというんで、逢いにきてくれたんです」
「まあっ、アンタ、東京で働いてるの? どうりでこんな立派なスーツ…………」
「…………堂島です。東京で会社を経営しています」
「社長さん!? やっだ、薬師ちゃん、いい男捕まえたわねェ!」
「あ、あはは…………」
山田さんがばしばしとあたしの二の腕を叩く。
あたしが反応に窮していると、不意に、堂島さんがあたしの肩を抱いた。
驚いたけれど、山田さんの手前不審な動きをする訳にはいかなくて、ただ堂島さんを見上げる。
堂島さんは「心配するな」と言うように、あたしに目配せをしてくれた。
「逆ですよ。俺がハルのようないい女を捕まえたくて、必死になったんです。
…………な?」
「えっ」
「あ~らあらあらあらまあまあまあまあ、お熱い事!!!!」
山田さんはカッと目を見開いて、仰け反る。
「やだもう、良いもの見せて貰ったわァ。佐藤さん達にもよろしく伝えなくっちゃね!」
あたしのプライベートを拡散する予定を当然のように公表して、山田さんは嵐のように去っていった。
呆然としているあたしの肩を、堂島さんが「悪い」と言いながら解放する。