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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第16章 温もりは海を越えて


あれからみんなは私の部屋で寝てしまった。
私は先程まで寝ていたから、ベッドは真希と野薔薇に譲り、床で軽く眠る。

朝方目が覚めて、みんなを起こさないように部屋を出た。
廊下を歩いていると、窓から東雲の空が見える。
夜明けだ。

恵の部屋の扉を控えめにノックする。
さすがに返事はなかった。

ドアノブを捻ってみると、しっかり回る。
鍵はかけていないようだ。
誰かが来て、そのままだったのだろう。

眠る恵の頬を軽く撫でて、ベッドに背中をつけて座った。
膝を抱えて縮こまる。

恵はあんなに頑張って、戦って……私は何を成し遂げたんだろう。

「千景?」

名前を呼ばれて振り向く。
起こしてしまったようだ。

「起こしてごめんね。夜まで寝てたから、眠れなくて……」

「いや……俺も寝てたから、眠りが浅かった」

身体を捻り、ベッドに肘をつく。
起き上がって、窓の外を眺める恵を見つめた。

「ねぇ恵。お父さんに会いたい?」

本音が聞きたい。
強がりなんかじゃなくて、本当のことを言って。
今はお姉ちゃんしかいないよ。

「………うん」

恵は東雲を見つめたまま、その光に照らされている。
――そうだよね。寂しいよね……会いたいよね。
私も、会ってみたかった。

ベッドに手をつきながら膝を乗せる。
そのまま膝で躙り寄り、膝立ちのまま恵の頭を包み込む。

静かな早朝の時間が過ぎていった。

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