第16章 温もりは海を越えて
憂太に「みんなと話す?」と聞いても、首を振っていた。
相当話したいはずなんだが……。
「会いたくなっちゃうから……千景は我慢出来ない。声だけでも聞かないと、おかしくなっちゃう」
どうやら憂太は、みんなと電話もしていないようだ。
メッセージのやりとりのみ。
そのまま話していると、チラチラと同じ服ばかりが画面に入り込んでいる。
白い服……。
「ミゲルさん?」
「ん?そうそう。今、ミゲルさんも一緒だよ」
顔を覗かせたミゲルさんが手を振っているので、振り返した。
――さっきの言葉を、ミゲルさんがいる状況で言っていたの?
憂太を見ていると、触れたくなってしまう。
前のようにすぐ帰って来れるわけじゃない。
海外に行く前は、高専と任務地を行ったり来たり……1つの任務が終われば帰って来れる。
でも今は、海外ということもあり、長期任務。
すぐに帰って来れないことなんて、始めからわかっていた。
別に憂太が特級じゃなくていい。
憂太が憂太でいてくれれば、それでいいのに。
「憂太ぁ……」
「どうしたの?甘えたくなった?」
コクッと頷くと、憂太は優しく微笑んだ。
「僕も。僕も千景に甘えたい。奥で包んでよ」
憂太の言葉に首を傾げたが、少し遅れて理解し、慌ててカメラを切った。
みんなに聞こえる状態でこれ以上、好き勝手言われては困る。
だが憂太はこのあと用事があるらしく、通話を切り、みんなと話していた。