第16章 温もりは海を越えて
「千景?!大丈夫?怪我したんでしょ?誰がやったの?特級相手に無理したって?ダメだよ。ちゃんと自分を大事にして」
――過保護……。
ベッドに座り、軽く俯く。
胸元でキラリと光った。
いつの間にか、悟が返してくれていたようだ。
憂太からもらった、婚約指輪。
「うん、大丈夫だよ。怪我は仕方ないよ。そういうイベントだし……。それと、特級相手なら無理しないと、死んじゃうでしょ?頑張ったんだ」
――褒めて……お疲れ様って労って欲しい。
ポスッと倒れて、少しシーツに沈む。
みんなが話しているのを、ボーッと見つめた。
「千景、お疲れ様。いっぱい頑張ったんだね。今すぐ抱き締めて甘えさせたいけど、次会える時まで我慢だね……」
「うん、ありがとう。憂太……好きだよ」
パンダの耳がピクピクと動き、みんなが軽く視線を送ってくる。
恋人同士なんだから、これくらい当たり前だろう。
みんなに聞かれたことは、そんなに恥ずかしいと思わなかった。
たぶん、後で大ダメージを食らうだろうけど。
今はそれより、憂太が恋しい。
「うん。僕も好きだよ、千景。……千景の可愛い声聞いたら、ちんちん元気なっちゃった」
「ふっ……ばか」
「しない?ビデオ通話にしてさ。えっちなとこ、見せて」
憂太の突然の提案に、心臓が暴れ出す。
「無理だよ」と返すと、明らさまに声が低くなった。
怒っているとかではなく、寂しいようだ。
みんないるんだ、出来るわけない。
それを伝えると、「やっぱりビデオ通話にしよう」と言ったので、スマホの画面をタップした。
カメラを切り替え、外カメラにする。
みんなの姿が、小さな枠に収まった。
憂太は微笑んでみんなを見ている。
――やっぱり寂しいよね。会いたいよね。
憂太の方は外にいるようだった。
空や異国の街が映っている。
――外でしようとしてた?