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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第16章 温もりは海を越えて


「高専……戻ったらダメか……たぶん、高専内に逃げた方が安全だったと思うんだけど……ごめん。怖かったんだもんね。人がいるとこ行ける?」

憂太の言葉にはっとする。
高専内なら結界もあるし、直哉が結界内に侵入したらアラートが鳴る。

街に繋がる道を必死で走った。
後ろを気にする余裕などなかったが、直哉が追いかけてくる気配はない。

憂太の優しい声を聞きながら走っていると、街に抜ける。
長かったような、短かったような……恐怖と安心でよくわからなくなっていた。

「憂太……憂太ッ!どうしたらいい?……街に出たよ。直哉、追いかけて来ない」

自分で考えることを放棄して、憂太を頼る。
息を整えながら歩き、憂太の指示を待った。

「お店とか入ろっか。カフェとかファミレスとか。千景、大丈夫だからね。もし、追いかけてきたら、すぐに五条先生に連絡して」

憂太は悔しそうに悟の名前を口にした。
悟ならどこにいても、すぐに駆けつけられる。

すぐに近くのカフェに入って、飲み物を注文した。
憂太と話しながら涙を落ち着けていく。
――店員さん、泣いてるの見てびっくりしてたな……。

「千景、僕も大好きだよ。日本に戻ったら、すぐ千景の不安を取り除いてあげるから」

「ありがとう。……早く、会いたい」

思わず零した声に憂太は苦笑し、「僕も」と返してくれる。
その後もずっと、優しい憂太と話していた。

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