第15章 交流会
"やめなさい。愚かな子らよ"。
頭に直接、言葉が流れ込んできたよう。
聞いただけでは何を言っているのかわからないのに、勝手に頭が言語を理解してしまう。
加茂さんの攻撃も、恵の攻撃も通らない特級呪霊。
このまま棘が呪言を使い続けても危険だ。
私の断罪ノ影法術も、押し負ける。
――呪力の消費が激しいから、あまり使いたくないのに……。
今はあの呪霊の動きを止めるので精一杯。
刀の形にした影で呪霊の影を切っても、傷は何一つつかなかった。
「死して、賢者となりなさい」
呪霊の言っていることは、ほとんど聞いていなかった。
いや、勝手に頭に流れ込んでくるが、それを噛み砕くことはしなかった。
この状況をどう突破するか、それしか考えていなかった。
「狗巻、一色を連れて下がれ!」
「狗巻先輩!千景、足怪我してます」
それを聞いた棘はすぐに私を抱え、走り出す。
恵や加茂さんも一緒に走り出した。
私たちは建物の中に逃げ込み、迫り来る木々から逃れる。
私は棘のポケットを漁り、見つけた喉薬を棘の口に流し込んだ。
今は、棘の呪言頼りだ。
棘の呪言がないと、私の術式も間に合わない。
「来るぞ!」
すぐ後ろに迫った呪霊と、加茂さんが対峙した。
「止まれ!」
棘が呪言を使った瞬間、すぐに影を伸ばした。
呪霊を拘束すると、加茂さんが術式で攻撃する。
顔に傷を付けた。
そのまままた、呪霊から距離を取る為、走り出した。
――棘がきつそうだ。
「棘、降ろして!自分で走る!」
術式の効果範囲ギリギリまで発動し続け、呪霊の動きを止める。
「おかか!」
棘に拒否されてしまった。
そんな棘を見つめながらまた、喉薬を飲ませる。
咳き込みながら走る棘を見て、胸が締め付けられた。
同じ階級の私が、足手まといになっている。