第14章 君に触れて
タクシーが止まり、降りてみると……露店がずらりと並んだ市場が目前に広がっている。
現地の人や観光客で賑わうそこは活気があり、眺めているだけでも胸が弾むようだ。
屋台が両側に並ぶ道を歩いていく。
色鮮やかな布に、知らない果物。
ワクワクが止まらない。
目をキラキラとさせている私が離れないように、憂太は手をぎゅっと握っていた。
――小さい子供じゃないんだけどな……。
「憂太、憂太!あれ、すぐに食べられるようにしてくれるの?」
「そうだよ。何か食べたいのあった?」
私の指差した先にはフルーツパーラーがあり、憂太の言葉に頷くとすぐにそこに近づいていく。
よく知るパイナップルやスイカの他に、日本ではあまり見ない果物が並んでいた。
ココナッツもある。
私はすぐにそれを指差し、憂太を見た。
憂太はクスッと優しく笑い、お店の人と話している。
スワヒリ語だろうか。
何を言っているのか、全然わからなかった。
「Asante.千景、あっちで食べよっか」
あ……あさんて?
飲めるように割ってもらったココナッツと皮が緑色の果物を受け取った憂太は最後に、お店の人にそう言っていた。
「どういう意味?」
「ありがとうって意味だよ」
憂太もまだ、スワヒリ語はあまり知らないようだが、ある程度は話せるらしい。
私は今覚えた言葉をお店の人に向けて言った。
お店の人は、「カリブ・サーナ!」と返してくれた。
手を引かれてまた通りを歩き出す。
ココナッツとカップに入ったカットフルーツを片手で持つ憂太から、カップを奪い取った。
手を繋いだままだと食べにくくて手を離すと、腰を抱かれる。
――そんなに心配しなくても、憂太から離れないのにな……。
「カリブ・サーナってどういう意味だったの?」
「どういたしましてとか、また来てねって言われたんだよ」