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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第13章 血が生む傷


コロコロとキャリーケースを引きながら、高専の外に向かう。
サングラスをかけて待っていた悟に声をかけると、悟はキャリーケースを車のトランクに乗せた。

デートなのにどうして、伊地知さんが運転してるんだろう。
悟とデートする気もないし、デートだと思って来てるわけではないけど。

伊地知さんの静かで柔らかい声はなんだか、荒んだ心を落ち着かせてくれる。
温かくて安心する人の隣で、前から聞こえてくる声に耳を澄ませていた。

「さっ、降りるよ」

――空港?
国際空港で車を降り、そこからは悟と2人で空港の中に入る。
キャリーケースはずっと悟が引いてくれていた。

そういえば、悟は大きな荷物を何も持っていない。
現地で調達するつもりか。

「ねぇ悟。私は悟の海外任務についていく、ってことでいいのかな?」

「ん?違うよ。任務じゃない。千景が今、1番行きたいとこに行くんだって」

もしかして……浮かんだ想像を振り払うように頭を振った。
期待をしても、違った時が虚しいし、胸がちぎれてしまいそう。

長い足で私の歩幅に合わせて歩く悟について、飛行機に乗り込んだ。
期待しないようにしても、一度膨らんだものはそう簡単には萎んでくれない。

アフリカ……その場所で悟は空港から出て、どこかへ向かう。
街中を歩いていると、白い帽子にサングラスをかけた黒人が飲食店のテーブルにいる。

その前にいる人は黒髪で、白い服を着ていた。
悟はその人たちに近づいていく。
私の胸はもう、大きく高鳴っていた。

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