• テキストサイズ

呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第13章 血が生む傷


すぐに新幹線に乗って、東京へと向かう。
来る時に見ていた流れる景色など、見る価値もない。
色褪せたものに、なんの価値がある。

メッセージアプリを開き、トーク画面を見た。
1週間……憂太とのやりとりは1週間前で止まっている。
一縷の望みをかけて、受話器のマークを押した。

でも、聞こえてくるのはコール音だけだった。
トーク画面に戻ったスマホを見つめて、また別の人のトーク画面を開く。

電話をかけると、コール音が3回ほど聞こえてから途切れる。

「千景?どしたの。なんかあった?」

「………さとるっ!憂太が……憂太が電話に出てくれない!やだ、助けて……悟!」

一度止まった涙は悟の声を聞いて、また溢れ出す。

「とりあえず落ち着いて。今どこ?」

「新幹線……」

「うん。駅で待ってるから、それまで1人でいれる?」

その後、私はイヤホンをつけて、ずっと悟の声を聞いていた。
私は特に喋ることはなく、新幹線でずっと声を出すのもダメだと思った。

悟の鼻歌が耳に流れ込んで、少しずつ落ち着いていく。
苦しかった胸が、解放されたようだった。

/ 204ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp