第13章 血が生む傷
すぐに新幹線に乗って、東京へと向かう。
来る時に見ていた流れる景色など、見る価値もない。
色褪せたものに、なんの価値がある。
メッセージアプリを開き、トーク画面を見た。
1週間……憂太とのやりとりは1週間前で止まっている。
一縷の望みをかけて、受話器のマークを押した。
でも、聞こえてくるのはコール音だけだった。
トーク画面に戻ったスマホを見つめて、また別の人のトーク画面を開く。
電話をかけると、コール音が3回ほど聞こえてから途切れる。
「千景?どしたの。なんかあった?」
「………さとるっ!憂太が……憂太が電話に出てくれない!やだ、助けて……悟!」
一度止まった涙は悟の声を聞いて、また溢れ出す。
「とりあえず落ち着いて。今どこ?」
「新幹線……」
「うん。駅で待ってるから、それまで1人でいれる?」
その後、私はイヤホンをつけて、ずっと悟の声を聞いていた。
私は特に喋ることはなく、新幹線でずっと声を出すのもダメだと思った。
悟の鼻歌が耳に流れ込んで、少しずつ落ち着いていく。
苦しかった胸が、解放されたようだった。