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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第13章 血が生む傷


声を出すことすらままならず、握った拳が震える。
まさかこんな風に暴力を振るわれるなんて、思わなかった。

「っは……んく……ゆうた……」

「他の男の名前呼ぶやなんて、酷いわぁ……」

優しくする、気持ちいいまま終われる、そんなのは嘘だった。
始めからわかっていたが、私の上で揺れる男を見ることはしなかった。

溢れた涙で畳を濡らし、自身の乱れた服を直す直哉を冷めた目で見つめる。
下半身だけが乱れた私を見下ろした直哉は、髪を撫でて抱き起こした。

「1回だけやと出来るかわからんからなぁ……俺の妻なって、ここにおったらええ」

憂太は、許してくれるだろうか。
私にまた、優しく触れてくれるだろうか。

直哉の言葉など、聞こえていなかった。

――帰ろう。
ここにいても意味はない。
伏黒甚爾のことを聞くことも、今の状態では頭に入らないし、そんなことはとっくに忘れていた。

今はただ――憂太に会いたい。

直哉を引き剥がし、来た道を戻る。
脱がされた下着はそのままに、スカートの皺を戻しながら淡々と歩く。

ここから、一刻も早く、逃げなければ。
直哉の行為中、誰かが見ていた。
姿は見えていなかったが、部屋の外には確かに気配があり、止めることはしなかった。

この家は、狂っている。
そして、この身体に流れる血もおぞましく、穢らわしい。
真希や恵はその限りではないけど、アレに触れた私は汚れている。

「甚爾くん。"フィジカルギフテッド"言うて、呪力が一切ない代わりに、身体能力がバケモンやったんや。禪院家は甚爾くんの気まぐれで、今もあるらしいで」

後ろをついてくる直哉には気づいていた。

伏黒甚爾は呪力を持たずに、この禪院家を壊すことが出来た存在。
そうか……伏黒甚爾も、この禪院家が嫌いだったんだ。

でも、今はそんなことより……憂太に会いたい。

「帰るん?また来てな〜。次は嫁入り道具でも持ってきぃ」

こんなクソみたいなところ、二度と来るもんか。
太腿を流れ落ちるドロリとした液体に、嫌悪のような寒気が止まらなかった。

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