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呪いのなかで、恋々【乙骨憂太】

第13章 血が生む傷


禪院家の門に近づくと、1人の男が立っていた。
さっそく金髪だが……この人ことだろうか。
お辞儀をすると、喉を転がすような笑いが聞こえてくる。

「一色千景ちゃんやんな?」

「はい。あなたは……?」

「次期当主の禪院直哉や。よう来てくれはったな」

禪院直哉は屋敷の奥に消えてく。
慌ててついていき、どこかの部屋に通された。
客間だろうか……。

次期当主ということは、現当主がいるはず……だが、直哉は誰かを呼びに行こうとはしない。
お手伝いさんもいるのかは知らないが、誰かに言いつけているところも見なかった。

「甚爾くんの娘ってほんまなん?」

やはり、しっかりと調べ上げた後のようだ。
ここで誤魔化しても意味はない。
禪院家は私が娘であることを把握し、確信している。

頷くと直哉は顎を引き、卑下た笑みを浮かべた。
本能が拒絶するように、全身が粟立つ。

「術式。相伝に似たようなん持っとるやろ?ほんで、準1級。――俺との子、作ろか」

「は?……いきなり呼び出して、用はそんなことですか。作りません。帰ります」

立ち上げろうと膝を立てると腕を引かれ、直哉の胸に倒れる。
そのまま抱き締められ、髪を撫でられた。

声色が柔らかくなり、「優しい抱いたるよ」と組み敷かれる。
恐怖で術式を使って抵抗することすら、頭になかった。

優しくされてるのはなんとなくわかる。
痛くないからだ。
それでも、先程会ったばかりの……憂太ではない誰かに、そういう対象と見られることがとにかく怖くて、気持ち悪かった。

「そんままええ子にしとったら、気持ちええまま終われるで」

私の上の笑みが、私を地獄に突き落とす。
身体は固まって、目をぎゅっと瞑ることしか出来なかった。

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