第12章 新しい波のなかで
私を寮に置いた憂太はすぐに戻り、いつの間にか窓から差す陽の光はなくなっている。
ご飯を食べに行こうと腰を上げた。
ひょこひょこと足を引き摺りながら食堂へ向かう。
そうしていると後ろからいきなり腕を取られ、そのまま抱えられた。
「憂太……」
「あんまり遅いと、僕が千景の分、食べちゃうからね」
ニコッと笑った憂太の顔は、寂しげだった。
ただ勝手に嫉妬して、好きな人にそんな顔をさせている自分が許せなかった。
それでも、なかなか素直になれない自分がいる。
憂太に言ったらきっと、真希と距離を置く。
憂太にとって、真希がどれだけ大切なのかは知らない。
だけど、大切に思っているのは知っていた。
――私と真希じゃ、何もかもが違いすぎるよ……。
憂太を見上げて、眉間に力を入れた。
涙が零れてきそう。
「そんなに痛くないから……抱っこしなくても大丈夫」
「僕がしたいの」
憂太は前を向いたまま、淡々と答えていた。
離してくれなそうなので、もう何も言わなかった。