第10章 百鬼夜行
その時、嫌な気配がして窓を開けて空を見上げる。
帳が下りている。
「憂太!ここにいて!」
なんだか嫌な感じがして、窓から飛び降りた。
急いで真希の気配がある方へ向かうと、開けた場所で――真希が血溜まりを作って倒れていた。
近くには夏油傑。
夏油の前で止まる。
夏油は冷めた目で私を見て、次の瞬間、ニヤリと口角を上げた。
「君はあの"猿"とは違うようだが……乙骨憂太を揺さぶるいい駒になりそうだ」
「"猿"?……とりあえずその言葉、取り消して。仲間を――家族をそんな風に言われて、黙っているわけにはいかないよ」
早く真希を安全な場所に運ばなければ……そう思うのに、夏油は一瞬の隙も与えてくれない。
平然と近づいてくる夏油に、私はジリジリと間合いを取るように下がっていった。
夏油はクスクスと嘲笑いながら、一気に距離を詰めてきた。
自身の影の形を変えてナイフのようにし、夏油の影目掛けて飛ばす。
だが、それよりも早く夏油は私の目の前に来て、払うように拳を振った。
頬に当たり、私の身体は地面に転がる。
「大丈夫、殺しはしないよ。君には大事な役目があるからね」
脳が揺れて気持ち悪い。
転がったまま動けずにいると、近づいてきた夏油は私の胸ぐらを掴み――唇を重ねた。