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夢のまま【サンジ】

第1章 はじまり


デッキに出ると、風が一気に強くなった。

海の匂いが濃くて、視界いっぱいに青が広がる。

「うわ……」

思わず声が漏れる

現実の海より、ずっと広い気がした

「すげェだろ!!」

ルフィが笑いながら振り返る。

「毎日こんな感じなの、普通なんですか……?」

「おう!」

「普通じゃないと思いますけどね……」

ぼそっと言うと、後ろでウソップが笑った。

「いや、まあ普通じゃねぇな!」

「だろうな!!」

会話が雑すぎる。

でも、その空気がちょっとだけ心地いいのが悔しい。

柵に近づくと、波がはっきり見えた。

どこまでも続いていて、 昨日自分が溺れた場所と同じ“海”とは思えない。

「……ほんとに助かったんですね、私」

ぽつりと呟く。

その時

「運がよかったな」

後ろから声。

振り返ると、 サンジが柵にもたれていた。

いつも通り煙草をくわえているのに、 なぜかさっきより少し距離が近い気がする。

「普通なら沈んでたぞ」

「……ですよね」

軽く笑おうとして、 うまく笑えなかった。

一瞬、沈黙が落ちる。

「怖かったか?」

その問いに、少しだけ迷う。

「……怖かったです」

正直に言うしかなかった

「でも、ここに来れてなかったら、って考えると……」

そこまで言って、言葉が止まる。

自分でもよくわからない

帰りたいのか、 ここにいたいのか

その曖昧さが怖い。

サンジは少しだけ目を細めて、 海の方に視線を戻した。

「ま、無理に決めなくていいんじゃねェの」

「え?」

「帰るとか残るとか」

煙が風に流れる。

「今は飯食って、寝て、考えろ」

それだけ。

なのに、妙に落ち着く。

その時また後ろから声が飛ぶ。

「みかこー!!早く来いって!!」

ルフィの声。

「はいはい今行きます!!」

慌てて走り出すと、 サンジが小さくため息をついた。

「……ほんと、落ち着きねェな」

でもその声は、 さっきより少しだけ柔らかかった。
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