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夢のまま【サンジ】

第1章 はじまり


朝になって、ようやく少しだけ頭が回り始めた頃。

昨日のことを思い出す

海に流されて、 気づいたらこの船にいて、 そのまま意識が戻って。

服はずぶ濡れで、 寒さで震えていた自分を見て、

ナミが「とりあえず着替えなさい」と言ってくれたんだった。

借りた服は、今の自分には少し大きい。

袖を軽くまくりながら、鏡の前に立つ。

「……ほんとに、昨日ここに来たんだよね」

ぽつっと呟く

鏡の中の自分は、 どこにでもいる大学生のままで

髪が少し乱れていて、 頬には昨日の擦り傷が残っているだけ。

それが逆にリアルで、 夢じゃないって証拠みたいだった。

「大丈夫そうね」

後ろからナミの声

「服、似合ってるわよ。ちょっとサイズ合ってないけど」

「すみません……ほんとに助かりました」

「いいのよ。あのままじゃ風邪ひいてたし」

軽く笑ってから、ナミは地図の方へ戻っていく。

そのやりとりを、扉の近くから誰かが見ていた。

「……おい」

低い声

振り向くと、 サンジが煙草をくわえたまま立っていた。

「ちゃんと乾いたか?」

「はい、ナミさんに服借りてたおかげで」

「そっか」

それだけ言って、少しだけ視線があなたの腕に落ちる。

小さな擦り傷。

「……それだけで済んでよかったな」

いつもみたいな軽さじゃなくて、 ほんの少しだけ静かな声だった。

「ほんとに、助かりました」

そう言うと、 サンジは一瞬だけ目を細めてから、

「別に」

とだけ返した。

でも、その「別に」が 昨日より少し優しく聞こえた気がした。

その時。

「おーーいみかこ!!」

ルフィの声が船のどこかから響く。

「こっち来い!!海見えるぞ!!」

「ちょっと待ってくださいってば……!」

慌てて返事をしながら駆け出すあなたを見て、 サンジは小さく息を吐いた。

「……ほんと、落ち着きねェな」

その声は、 誰にも届かないくらい静かだった。
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