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夢のまま【サンジ】

第1章 はじまり


「推し?」

ナミ が首を傾げる

しまった、と思った時にはもう遅かった。


「えっと、その……好きな人? みたいな……」

「へぇ〜?」


ナミがにやっと笑う。

嫌な予感がした。

すごくした。


「ちなみに誰が“推し”なの?」

「え」

「気になる〜!」

後ろから ウソップ まで乗ってくる

やめて

この質問はまずい。

心臓に悪い。

ちら、と視線を向けた先。

サンジが煙草を咥えながら、面白そうにこちらを見ていた。

終わった

「……い、言わなくてもよくないですか?」

「なんでだ?」

ルフィ が不思議そうに首を傾げる。

「だって恥ずかしいので……」

「おれなら気にしねェぞ!」

お前じゃない。

問題は。


「…………」


サンジ本人がいることだ。

沈黙したあなたを見て、 ナミの目が細くなる。


「あー……なるほどね?」


「ナミさん顔やめてください」


「ふふっ」


絶対わかってる。

女の勘怖い。

「まぁいいじゃねェか」

不意に、 サンジが口を開いた。

「誰にだって好きなモンくらいあるだろ」

「……!」

さらっと助け舟を出され、 胸がぎゅっとなる。

そういうとこだぞ。

そういうとこ。

「……ありがとうございます」

小さく呟くと、 サンジは軽く肩を竦めた。

「礼言われるほどでもねェよ」

その時。

ぐぅぅぅ……

盛大に腹が鳴った。

「………………」

空気が止まる。

あなたはゆっくり布団を被った

死にたい。

「ははっ!」

最初に笑ったのはルフィだった。

「お前おもしれェな!」

「うるさい……」

「腹減ってんなら飯食おうぜ!」

「だから今作ってんだろ」

サンジが呆れながら、 ことみの方へ視線を向ける。

「立てるか?」

「……多分」

ベッドから降りようとして、 ふらつく。

その瞬間

「おっと」

ぐい、と腕を支えられた。

近い。

近い近い近い。

サンジの腕の中だった。

煙草と潮風の匂い。

スーツ越しに伝わる体温。

終わる。

心臓が。

「顔赤いぞ」

「無理です……」

「何が?」

「距離が……」

サンジがきょとんとしたあと、 ふっと笑う。

「変なやつ」

その笑い方があまりにも優しくて。

あなたは思った。

——この世界、情緒がもたない。
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