第5章 自覚
それから初日通り仕事をして。
ーーー動きがあったのはアリスの予想通りの3日目の夕方だった。
アリスと中也は夕飯を喫食し終え、自室へ戻ろうとしていたときだった。
「君達、一寸一緒に来てくれるか?」
「「!」」
いつも最前列で指揮を取っている繋ぎ服の男がアリス達を呼び止めた。
振り返っているすきに、前方にも繋ぎ服の男が2人、道を塞いでいる。
アリスと中也は顔を見合わせる。
「特別ボーナス、もう貰えるのかな?」
「かもなァ。手前は今日一日で30箱近く熟してたし」
そう暢気に会話するアリス達。
警戒していないと思ったのだろう。男達は3人で横並びになり、アリス達を先導し始めた。
大人しく着いていくアリス達。
何時もの作業場を通り過ぎ、初日にアリスの振り分けた袋を確認の為に持って消えていった方向に移動していく。
社員専用の部屋が並んでいるようだ。
『給湯室』や『資料室』等のプレートで部屋名を記された扉を幾つか過ぎて、『社長室』と書かれた扉の前で全員立ち止まった。
指揮者の男が叩敲をし、中から返答があると扉を開ける。
「這入れ」
促されてアリスと中也は大人しく部屋の中に入った。
ジャキッ
「「!」」
扉が閉まったと同時に、此処まで案内してきた男達3人は、何処からか取り出した拳銃をアリス達に突き付けた。
然し、拳銃くらいで動揺する2人ではない。
「あれ?特別ボーナスは?」
「鉛玉ッてンじゃあ割に合わねェな、おい」
溜め息を吐いて悪態づく中也。
「…貴方達、矢っ張り一般人じゃないのね」
デスクに座っていた人物が声を発した。
「あ?手前が社長か?」
「そうよ。ようこそ△△へ」
そこに居た人物は、中也と然程変わらない齢の女性だった。
その女性の隣に、指揮者の男がゆっくりと移動する。
「で、俺達に何の用だ?」
中也が話を切り出した。