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【文スト】不思議の国の異能少女・陰

第5章 自覚


深夜零時ーーー

中也は、突然現れた人の気配に、閉じていた目をスウッと開け、口を開いた。


「寝込みを襲いに来たのか?」

「なっ、ちっ、違っ!点呼だ!」

「あんまり大声出してくれるな。妹が起きる」

「あ、ああ、すまない…」


急に現れた男が一人。
食堂で矢鱈とアリスに話し掛け、アリスの頭を撫でようとした男だった。

「居るのが分かったなら充分だろ。さっさと出ていってくれ」

「云われなくとも!」

「だから声がでけえって」

中也に指摘され、口に手を当てると、男は部屋を後にしたのだった。

「点呼なんて。監視目的かな?」

「否、あれは如何みても手前目的だろ」

「え?私?」

何時の間にか目を開けていたアリスが、中也を見上げる。

「何で?」

「何でって、唯一の紅一点だしなァ」

「私未だ13歳だよ?」

「……向こうはアリスのこと15以上と思ってるだろ」

「それはそうだけど……」

「なんだよ。今のじゃ納得してねェのか?」

布団の上に置いていた右手でアリスの頭を撫でつける。

「否、中也の推察には納得してるよ。でも、こんな子供に手を出そうとするなんて…」

「……、年齢なんて関係ねェよ」

「え?」

「気にするか?」

突然の質問に目をパチパチさせるアリス。


「うん?質問の意味が良く分からないよ?」

「そうか。じャあ、気にするか否かだけでいい」

「じゃあ、『気にする』」

「ーーー判った」

「?」

中也はそれ以上、何も云うことなく目を閉じた。

「……へんな中也兄」

「聴こえてンぞ」

ポソリと呟いた言葉は中也の耳にしっかり届いていたらしい。
かと云って、これ以上の何かがあるわけではないのだが。


アリスも中也に倣って目を閉じる。

もう、この状況にも慣れたのだろう。そう時間も経たないうちにスースーと規則正しい寝息が中也の耳に聴こえてきた。

それを合図に中也は目を開ける。


「ったく。人の気も知らねェで無防備に寝やがッて」


頭を撫で、閉じられた瞼をそっと唇でふれる。
そして、ふにふにと親指でアリスの唇をなぞる中也。



「『気にする』、なァ。保つか?俺の理性…」



返答は勿論ない。
中也の呟きは、夜の暗闇に溶けて消えていったーーー。

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