第5章 自覚
そんな会話をしていると、先程アリスの仕分けた分を持って何処かに行った繋ぎ服の男が戻ってきた。
「……云っていた通り、正確に分けられていた」
「当然だよ」
「次の便を…」
「でも、お兄ちゃんに云われて気付いたんだけど。此れって歩合制じゃあないんでしょ?じゃあ次からゆっくりしてもいいよね??」
「なっ……!?」
アリスの発言に、次の句がつげない繋ぎ服の男。
その会話を聞きに来たのだろう。一番前で指揮をしていた男がアリス達に近寄ってきており、その発言を聞いて少し考え込む仕草をする。
「確かに、君の正確な仕分けスピードで他の人と同じ賃金じゃ割に合わないな」
「!そうでしょ?お兄ちゃんのも終わらせたから実質4箱だよ?」
「ふむ…。特別手当を支給してよいか上に掛け合おうじゃないか」
「駄目って云われたら無意味」
プイッと顔を背けるアリスに、指揮者の男はやれやれ、と云うと目の前で何処かに連絡を取り始めた。
「先程の、はい。例の少女が賃金の値上げ交渉をしてきておりまして、……はい。はい……、承知いたしました」
失礼します、と云い、通信端末を仕舞うとアリスに向かって云い放つ。
「3倍はどうだ?」
「5倍ならこのスピードで残りの時間も熟してあげる」
「まだ幼いのに交渉上手だな……判った。5倍だ。但し、出来なければ下げる。いいな?」
「はーい」
「それと追加のパターンもお願いしたいが」
「良いよ。手間は変わらないから」
「……。」
指揮者の男と繋ぎ服の男は、それ以上何も云わずに部品の用意に取り掛かるのだった。
「こんなに目立って良いのかよ」
中也は小声でアリスに問う。
「大丈夫だよ。この方が、相手も警戒するだろうし何か接触があるかもしれない」
「そうか」
考えられた行動なのか、無鉄砲なのか。
行動や発言などの言動が、厭味ったらしい自分の相棒と度々重なる。
しかし、それを嫌だと思わないのは『目の前の少女がアリスであるから』だと気付くのに、もう少し時間が要るようだ。
ーーーしかし、その時は、割と直ぐであった。