第5章 自覚
そこからのアリスは凄かった。
「はーい。次の分お願いします!」
指示された通りに挙手して、次の分を要求するアリス。
その速度に、アリスに部品を渡す係なのだろう繋ぎ服の男は驚きの声を上げていた。
「っ!?もうだと!?」
「?そうですけど」
「先刻渡した分はどうした!?」
「うん?終わったから手を挙げてるんでしょ??」
何言ってるの、この人。といわんばかりに首を傾げて答えるアリス。
まだ全員が、一箱すら終わっていないのにも関わらず、アリスは既に4箱目を請求していたのだ。
「まだ1時間も経ってねーんだけど」
「あ、そう?手伝おうか?お兄ちゃん」
「そうしてくれや…。」
何故か、次の分を請求しているのに持ってきてくれないことに対して疑問に思いながら、次の分が届くまで中也の分を仕分けるアリス。
「……次の分だ」
「あ、どうもー。でもお兄ちゃんの分まで終わってから此れに取りかかりますねー」
「本当にちゃんと見てやっているのか?適当にしていても後でやり直してもらうぞ?」
次の材料を持ってきた繋ぎ服の男がアリスに云う。
「1つも間違ってないよ。調べられるなら今直ぐ調べてもらっても良いよ?」
ニッコリ笑って云うと、男は黙ってアリスの分けたモノを持って何処かへ去っていった。
「何でそんなに速く仕分けられるんだよ」
「うん?100種6パターンを暗記するくらい大したこと無いよね?」
「ああ…そうだった。手前、頭良いもんな」
「そうかなー?」
「自覚なしかよ」
机に並べられた6つの袋の中にポイポイと躊躇いなく部品を入れていくアリス。
何の部品を何個入れたか分からなくなってしまわないように用意されていたチェックリストなど一度も使われた形跡がない。
「はい。お兄ちゃんの分も終わったよ」
「あー有難うよ」
お礼に頭を撫でてやるとアリスは嬉しそうに笑った。
「でも、あんまり頑張ったとしてもだ」
「?うん」
「日当は他の連中と同額だぜ?」
「あ。」
指摘されるまで忘れていたのだろう。
アリスはあからさまにやる気を失ったのだった。