第5章 自覚
「私に依頼しなくても探せないの?」
「先刻も云ったけれど小競合いの片付けを頼まれているからね。どうしても其方に人員を割かざるを得ない。それに、『私』が心当たりを中って見付けられなかったものを部下達だけで簡単に見つけられるとは思えない」
「それはそうだろうけど」
「それともアリスが小競合いを片付けるかい?」
「それは嫌」
ケーキを頬張りながらも首を横にふるアリス。
「まあ、ポートマフィアの一員としての初仕事だよ。どう?」
太宰がニッコリ笑って告げるとアリスは少し考えるように黙り込む。
「……鎮圧する小競合いって***が関わってる?」
「おや。もうそんなことまで判っているのかい?」
「…矢っ張りそうか」
「驚いたね。アリスの口から***って出るなんて」
「最近、色々な組織を挑発しているみたいだからね」
「へぇ」
「引き受けてもいいけど、条件があるよ」
「云ってごらん?」
「そこそこ動ける人を貸して欲しいんだよ。一人か二人」
「一人、二人でいいのかい?」
「探しものなら潜入した方が早いけど、大人数だと目立っちゃうから」
「判った。じゃあ中也を寄越そう」
「!」
太宰の言葉にピクッと反応するアリス。
「中也兄を?小競合いの鎮圧に連れて行かなくていいの?」
太宰の人選に疑問を口にする。
「武器の横流しが続けば此方も困るからね。その組織ごと叩きたい」
「回収、殲滅までがお仕事ってわけか。マフィアって大変だなー」
アリスは紅茶に手を伸ばしながら云った。
「ところで、なんで***が関わっていると?」
「***が最近になって色々な組織を挑発している理由は、武装力が上がったからって専らの噂だよ」
「私達のだけでなく他の連中の荷物も横取りしているのか」
「そうみたい。武器以外は金に換えて資金調達しているか、横取りしたところに吹っ掛けてる。手に届く筈のものが***の元に行くんだもの。調子にも乗るよ。でも本当の理由は……確信は無いんだけど***は『パラサイト』に冒されてるかもしれないって思ってる。急にこんな事を思い付いて、行動出来る筈がないもん」
「私も同意見だね」
「治兄も?ならその線で探ってみるね」
「よろしく頼むよ」
太宰は残りの紅茶を一気に飲み干した。