第5章 自覚
「無くなった荷物を探してほしい?」
「そう。1週間前に届く筈だったものが届かなくてね」
「ちゃんと探したの?」
「勿論だとも。心当たりは総て中った。しかし」
「見付からなかった、と」
太宰が現在、訪れている場所は豪華なシャンデリアが飾られたロビーで有名なホテル。
様々な施設が入っており、何不自由無く過ごせる所謂、高級ホテルだ。
その中の施設の1つであるカフェで優雅にティータイムをしていた人物に仕事を依頼する為にやってきた。
紅茶を飲みながら太宰の依頼を聞いた少女、アリスはカップを置いて太宰の方を見る。
「引き受けてくれないだろうか?」
「………荷物の中身にも依るけど……取り敢えず、場所変えた方が良さげだね」
アリスは目の前に現れた太宰にそう告げると、一気に紅茶を飲み干した。
処代わってアリスの滞在している部屋――。
とても子供一人が泊まる処とは思えない一室に二人は居た。
先程まで居たカフェで、太宰に買って貰ったケーキを皿に並べて紅茶を注ぐ。
ティータイムの続きをするべく準備をしているアリスに、先にソファに座った太宰が声を掛ける。
「相変わらず良い部屋に泊まっているね」
「普通の部屋に泊まるよりは高い部屋でないとヒトの出入りが激しすぎて五月蠅いんだよ。でも高い部屋だと、それはそれで会いたくない連中と遭遇する確率が上がる」
「成程ね。政治家とかが利用しそうなVIPルームがある」
ホテルの案内に目を通しながらアリスが中間層の客室を利用している理由に納得する。
「それで?」
「ん?」
紅茶をテーブルに置いて、太宰の隣に座りながら本題に入るアリス。
「荷物探し。中身は?」
「ああ。銃器だよ」
サラリと云われた言葉に、アリスの眉がピクリと上がる。
「また物騒な依頼を持ってくるね…。まあ普通の荷物なワケ無いとは思っていたけど…」
はぁ、と態とらしく溜め息を着いてみせる。
「本当は依頼する積もりなど無かったのだけどね。困ったことに傘下組織に小競合いが生じてしまってね。その始末を任されてしまったのだよ」
「ふーん。幹部様も大変だね」
「本当に。面倒ばかり増えて、ゆっくり休むことも中々出来ない。」
やれやれ、と今度は太宰が溜め息を着く。