第4章 パラサイト その1
執務室に戻ってきたアリスと中也。
中也はお茶請けに焼き菓子を並べ、お茶を淹れてアリスの前に差し出した。
「やっぱり中也兄の淹れたお茶は美味しい」
「紅茶は好きかよ」
「うん!いい匂いだし飲みやすいから」
紅茶を飲み、お茶菓子を食べながら幸せそうに笑ってそう云うアリスに、つられて中也も笑う。
くぴくぴと数口紅茶を飲んでいたアリスが、突然「あ。」と呟いた。
そして、何かを思い出したようにカップを置いて、中也を見る。
「そう云えば、影の人に取られていた物資とやらを回収してきたんだった!」
「ゴフゥッ!?」
飲んでいた紅茶をギリギリ吹き出す事なく、飲み込んだ中也も乱暴にカップを置いた。
「何処にある!?」
「私の空間にだけど…」
「あれはシャブだ。薬害は蔓延らせるなと云う首領の命で回収する筈だったモノでアリスの役には立たない物だぞ」
「シャブ……覚醒剤か。攫った女の子達を薬漬けにするために集めてたやつかな」
「……恐らくな」
中也の顔も険しい。
「返してくれるか?」
「良いけど……タダで?」
アリスの言葉に、そりゃそうだよなとごちる中也。
太宰ほど交渉上手ではないがーーー
「何を望む?」
「うーんとねー」
アリスは考え込む。
そして、あ!っと思いついたように声を上げた。
「そうだった!護身術!」
「あ?護身術?」
「教えてくれるって云った!」
アリスの言葉にキョトンとする中也。
「真逆、そんなんでいいのか?」
「いいよー私、お薬には興味無いし、中也兄に渡したほうが安全だと思うし」
ニコっと笑って交渉するアリスに、裏があるんじゃないかと考える中也。
だが、確かに大量の覚醒剤などアリスに必要とは思えないーー
「判った。それで取引しようぜ」
「わーい。じゃあ早速ーーー」
アリスはピョンと立ち上がる。
「『マッドティーパーティー』」
「!?」
アリスは靴をカツンと鳴らして、云った。