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【文スト】不思議の国の異能少女・陰

第4章 パラサイト その1


「なぁに?太宰のお兄ちゃん?」

「否、何でもないよ」

「……、嘘つき」

やり取りで嘘を見破られ、うんざりした顔をする太宰。

「確かに何でもないは嘘だけれど、大した事ではないよ」

「……そう」

今度は鈴が鳴らなかったようだ。アリスは渋々納得する。


「形勢逆転だねえ」

「っ!?」

太宰が懐から銃を取り出して、突き付けた。
影使いの男の顔色がみるみる失われていく。

なにか打開策はないのか、と頭を回転させる男。
そして、思い付いたことを口に出す。

「お、俺が死ねば、横取りした物資は二度と戻らねえ!」

「これ以上の混乱を避ける事と天秤に掛ければ横取りされた物資なんて差し置いてもお釣りが来るね」

「ーーーっ!」

太宰が、撃鉄を起こし、引き金に指を掛ける。

「待ってくれ!組織について話っ」

パァン…、と響き渡る銃声。
男の言葉はその音に掻き消されて、消えていったーーー。


血溜まりができ、ドシャリと水音を立てて影使いの男が崩れた。

「……平気か?」

「うん。全然平気。有難う中也お兄ちゃん」

ポンポンと頭を撫でてやる中也。

「先刻も思ったのだけど、何で私は太宰で中也は中也なんだい?」

拳銃を懐にしまいながら問うてくる太宰。
アリスは首を傾げて、

「だって、中也お兄ちゃんは太宰って呼んでて、太宰お兄ちゃんは中也って呼んでるから」

「そんな理由?」

「うん。他に何があるの?」

キョトンとしたアリスに、それもそうかと納得する太宰。

「じゃあ私も治と呼んでほしいといえば呼んでくれるというわけか」

「その方がいいならそうするよー。あとお兄ちゃんって長いから短くしてもいい?」

「好きにしていいよ。所詮、名前なんてただの呼称にすぎないし」

「じゃあ太宰でもいいじゃん」

正論を云うアリスにブハッと吹き出す中也。

「違ェねえ」

「それだと何か中也に負けた気がするから嫌」

「勝ち負けなんてあるの?」

「あるとも。親密度とか」

「私の中では治兄との中は最悪から一寸マシの間……低辺に近いけどね」

「辛辣」

アリスの言葉に中也は爆笑し、太宰は態とらしく悄気げて見せる。

「「「……。」」」


そんなコントのようなやり取りを震えながら見ている捕虜と、無言の広津。
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