第4章 パラサイト その1
突然現れた男に、広津は驚きの顔をしていたが、三人は全く動じなかった。
「予測していた」からだ。
「やれやれ。やっとお出ましか」
凡ては、影使いの男を誘き寄せるための茶番に過ぎなかったのだ。
太宰は盛大に息を吐くと影使いの男に向きやった。
「来るのが判っていたみたいな言い方だな」
「勿論、そうだとも。此処ーーーポートマフィア本部に潜伏している事が確実と判った時点で、私が裏切り者の処刑を実行する前に口封じに殺しに来ることは予想がついていた」
「……その情報屋か」
チッと舌打ちしてアリスを睨みつける影使いの男。
すると、突然屈み込み、自身の影に触れる。
その影が、自立して動き出すと、
「ありゃ?」
「「アリス!?」」
今度はアリスを飲み込み、元の通り、男の足元に張り付く唯の影に戻ったのだった。
「手前ェ…、っ!?」
中也が動こうとするも、以前のように体が動かない。
太宰が影使いの男に触れようとしたとき、男は獰猛な笑みを浮かべて、云い放った。
「異能を解除してもあの小娘は戻ってこない。俺が異能で戻さない限りな!」
「ンだと!?」
「……。」
その言葉に反応する中也と、険しい顔になる太宰。
完全に勝ち誇った顔をする影使い。
「あの小娘を返してほしければーーー」
そう云い出した、その時だった。
「なぁ!?」
男の影が、男に巻き付く形で束縛したのだった。
「同じ感じにやってみたんだけど如何かな??上手く出来てるー?」
「「!」」
のんびりとした声が響き渡る。
太宰と中也が声の方を向くと、そこには先程消えた筈のアリスと捕虜の男が立っていたのだった。
捕虜の男は、ガクガクと震えている。
「アリス、無事だったか」
何時の間にか動けるようになった中也はアリスのそばに掛けより、捕虜だった男を手刀で落とす。
そして、安否を確かめる声を掛けた。
「うん。心配してくれて有難う中也お兄ちゃん」
そう云われ、無意識でアリスの頭を撫でてやる中也。
アリスも嫌がることなく笑顔になる。
「そうか、影も君の条件に当て嵌まるね」
「よく考えたらそうだなーって思って見様見真似でやってみたよ」
にっこり笑って云うアリスに少し思うことがあるのか考えている太宰。