第4章 パラサイト その1
アリスと中也は地下駐車場に来ていた。
「先刻云っていたが、円の範囲内が条件なンだろ?」
「そうだよ?」
「此処に居なかったら次のフロアに行かなきゃなんねえってことか?」
「否、違うよ」
「?」
「レーダーとか想像してもらえたら判るけど、基準がそこで、高度は関係ない…なんて説明すればいいかな……うーんと、あ、円柱を想像してもらえれば良いよ!」
「円柱…詰まり、同じ建物内ならこっから下だろうと上だろうと範囲内って事か?」
「そうそう!」
「なんつーか…ほんとチートだな、手前の異能」
「そうかな?」
「目に見えなくてあるものなら、俺と同じ『重力』だって扱えるって事だろ?」
「『重力』?!それは考えたこともなかったよ」
中也の言葉に、ハッとするアリス。
そんなアリスをみて首を傾げる中也。
「嘘だろ?この間、アタッシュケースを途中から軽々しく持ってたじゃねえか」
「あ…」
アリスはそう指摘されて間の抜けた声を発した。
「確かに重いなーと思ったものが突然、軽くなったりしてたんだけど慣れたのかな?って思ってた…あれは重力を操ってたのか!」
「無意識かよ。逆にこえーわ」
「じゃあお兄ちゃんが正しい重力の扱い方教えてくれる?」
「……。」
アリスの言葉に中也は黙る。
そして、ワシャワシャとアリスの頭を撫でた。
「キャッ!髪が乱れちゃう!」
「重力を攻撃に使うのはやめとけ」
「……なんとなくそう云われると思った」
髪の乱れを戻しながらアリスは苦笑した。
「あ、でも!護身術は教えてほしいなー」
「護身術か。それは覚えておいたほうが役に立つだろうが…何も俺じゃなくてもいいだろ」
「お兄ちゃんがいい!だって大人に習うのなんて嫌だもん」
「……そうかよ」
中也は見逃さなかった。
『大人』というワードを出した瞬間、アリスの目が暗くなったことを。
ポン、と。今度は優しく頭を撫でる。
「これが片付いたら教えてやる」
「ホント!?有難う中也お兄ちゃん!」
笑顔になったアリスを見て、中也は小さく息を吐いた。
「じゃあ、早速始めましょ」
アリスは駐車場の端がギリギリ見渡せる位置まで歩き出した。
そして、
「『ワンダーランド』ーーー」
目を閉じて、云った。