第4章 パラサイト その1
「判らないのかい?流石、お子様中也」
「何だと、手前ェ!」
プププ、と笑う太宰にキレる中也。
「先代派と現首領派に二分化された組織という情報は、私の耳に入る程度には流れてる。だから目をつけられていた可能性が高いんじゃないかな?」
太宰の代わりにアリスが答える。
「元より少しずつ勢力を伸ばしてきたところに、ポートマフィアの傘下組織に寄生することに成功した。だから親も乗っ取れるかなー位の感覚かも??」
「成程な。分かりやすいな、アリスの説明は。誰かさんと違って丁寧だ」
「有難うー」
褒められてニコニコするアリスとやれやれ、といった顔をする太宰。
「敵も直ぐにポートマフィアを乗っ取れるとは思ってない筈だ。『パラサイト』の話が出回る前に、時間を掛けて徐々にーーていうのが狙いだったのか」
「うん、その仮説だとだとしっくりくるね」
アリスはそう云うと、立ち上がった。
「この建物の中で一番広く見渡せる場所って何処かな?」
「建物の中ならば地下駐車場かな。何でだい?」
「云ってなかったけど、私の『ワンダーランド』の有効範囲は私の視界が及ぶ範囲を半径にして出来た円が基準なの」
「成程。広く視界さえ確保できれば一回で済むのか」
「中り♪」
「中也、案内して」
「わーったよ」
話についていけてない中也は不貞腐れたように云うと、アリスを手招きした。
「私は先に広津さんたちの所に居るよ」
「おう」
そうしてアリスと中也は部屋から出ていった。
急に静まり返った部屋で太宰は考える。
「チート級の異能に膨大な情報量ーーー味方のうちはいいが敵に回すと厄介な人物だ。却説、如何したものか……」
裏切り者を始末する算段よりも頭をひねり、考え込む太宰であった。