第4章 パラサイト その1
アリスは続ける。
「操れるものによって条件が変わったりもするけど、1つだけ。自分の意思に関係なくオートで発動する条件があるの」
「条件?」
「誰かが私を傷つけること」
「!」
「普段の嘘は、此れで判別してるの」
ニッコリ笑うアリス。
「この間のあれは、太宰のお兄ちゃんの「異能力『無』効化」と私の「異能力『絶対』発動」の矛盾が生じて、異能力同士が反発したんだと思うんだ」
矛盾……一種の特異点か。と太宰は納得する。
「じゃあ、あれ自体はアリスの能力ではないと?」
コクりと頷くアリス。
異能力の矛盾ーーー
この少女はそこまで見越して戦っていたのか。
「解っててやった訳じゃないけど、賭けに出て発動したのは間違いないよ。お陰で凄く消耗した。だから全く反応せずに寝てたでしょ?」
「……。」
「寝てたね、熟睡してた」
「『ハッピーアンバースデー』は条件を満たせば必ず発動するオートの力だけど、故意に発動させると消耗が激しいんだ」
「何故?」
「『手段を問わないから私を傷付けるものを排除したい』と云う意思を尊重するんだと思う。手当たり次第、操作対象のモノを駆使して相手を殺しに掛かるんだ」
「「!」」
「私が普段なら操作しない様なもの、或いは普段なら操作できないものまでを操作しちゃう。だから消耗が激しい」
のんびりとした口調で話す。
「物騒な能力だね」
「うん。私自身、制御できてないんだと思ってる」
「そう。それで、無いのに在るもの、在るのに無いもの具体的な例は?」
太宰は続きを促す。
「その言葉通りだよ。目に見えないけどある……空気だったり、音だったり、記憶だったり存在するけど目で認識出来ないもの。或いはその逆。目で認識できるけど存在が確かじゃないもの……光とか火とかかな」
「「……。」」
本当にそんなことが出来るのか?
若し、アリスの云う通りに『存在するも認識でき無いものと、その逆』全てを操ることが出来るならば。
「記憶とか、存在が曖昧なのに頭の何処かにきちんと何らかの形であるでしょ?そういうものも操れるの」
『便利な異能力』どころの話ではない―――。