第3章 再会
目の前の少女は、欲しい情報を確実に持っている。
そう確信した太宰は改まって、商談を始める。
「それじゃあ取引を始めよう。此方の条件は『裏切り者の炙り出し』だ」
「私の条件は、あの子達の解放と命の保証だよ」
何時もの様に金銭を、とはいかないか…
太宰は頭の中でそう呟くと話を続けた。
「そう云うと思って私の部下が食事と衣服を給与してる頃…」
「此処に居る間だけじゃ駄目だよ」
「!」
太宰と中也は鋭い目付きでアリスを見やる。
交渉を甘く見ていないアリス。
矢っ張り、と呟いてアリスも鋭い眼つきになった。
他の連中なら確実に気付かれなかっただろうに。
矢張り、この少女は只者では無い。
太宰は大袈裟にはぁ。と一息着いて降参のポーズをする。
「10人も見逃せって言ってるんだから、それ相応の見返りがいるよ?流石に」
「ポートマフィアを混乱に落としている裏切り者の炙り出しだけでも充分働いてると思うけど」
「足りない」
キッパリと太宰は云う。
「じゃあ、彼女達のポートマフィアが関わった部分の記憶の改竄と影使いさんの居場所の特定も付けるよ」
「……前者は兎も角、後者は出来るのかい?我々が1ヶ月掛かっても見付けられないのに」
「出来る」
「「……。」」
笑顔でハッキリと答えるアリス。
余程自信があるのだろう。否、既に此方の状況を把握しているのだ、可能なのか。と太宰は思料する。
「判った……それで応じよう。何日掛かる?」
「うーん。今から動けば3、4日かな」
「!」
そんなに早くか。
出会うこと、僅か2回。
未だ明確でない少女の異能力は、判っている範囲だけでも利用価値が非常に高い。
此方側の味方となれば、利益は大きい筈だ。
「じゃあ早速、彼女達を帰したい。警察署迄送って?」
「判った。手配しよう。先程一緒に居た見張りの…」
「その人は駄目だよ」
「!」
もう1人確定、か。
となると、だ。
確実に安全に運べる人物ーーー
アリスと太宰の視線が一箇所に集まる。
「あ?」
「中也お兄ちゃん、宜しくね」
アリスはにっこり笑って云った。