第3章 再会
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あれからアリスは、と或る部屋に居る。
先程の趣味の悪い部屋とは打って変わって広くて綺麗な部屋だ。
肝心な太宰は、広津を檻に入れるために離席していたため、部屋にいるのは中也とアリスだけだった。
キョロキョロと部屋を見渡した後、自分の目の前に居る中也に話し掛けた。
「本当にマフィアの幹部なんだね」
「まぁ、一応な」
うんざりする声で云うと、中也はアリスの前に紅茶を差し出した。
「……なあに?そんなに見て」
視線に気付いて、中也はそっとアリスに手を伸ばす。
「赤くなッてンな」
首筋をそろりと撫でてやるとアリスは擽ったくて少し笑った。
「有難うお兄ちゃん。でも大丈夫だよ」
「薬用意しとく」
「優しいー太宰のお兄ちゃんと大違い」
「あの野郎と一緒にすンな」
うんざりした顔でそう云うと、自身もソファに座り、紅茶を啜り始めた。
「美味しい!中也お兄ちゃんは紅茶入れるの上手だね」
「姐さんに色々習ったからな」
「ほぇーお姐さんも居るのか」
他愛も無い会話をしていると太宰がふう、と大きい息を吐きながら戻ってきた。
「待たせたね。あれ、中也。私の分の紅茶は?」
「無ェよ。手前で淹れろ」
ケッと云いながら云う中也。さして欲しくもなかったのだろう。太宰はそれ以上と何も云うことなくアリスの前の位置に座った。
「それで?」
アリスは話を切り出した。
「あの件以来、裏切り者が後を絶たなくてね」
紅茶を口にするアリス。
アリスの言動を観察するように観ている太宰。
「あー。面倒事が起きてるんでしょ?」
「……。」
詳しく話さずとも理解していると云うことは――。
そしてアリスはニッコリ笑った。
「脱走げられちゃったらしいね?」
「!」
首を絞められた恨みをここで晴らすが如く嫌味を云うアリス。
「知っていたのかい?」
「うん」
矢張り、か。
「そのせいでポートマフィアが大変なことも」
ティーカップを置き、続ける。
「貴方が私を捜していたことも、ね」
「やれやれ。君の情報収集力には驚かされるよ」
態とらしく溜め息を着く太宰。