第3章 再会
「俺は覚えが無ェが、向こうはあるみたいだな?なァ、『情報屋』さんよ」
「!」
中也の言葉に、アリスは顔を歪めた。
「……太宰治のせいだね」
「中りみたいだな」
アリスは大きくため息を吐いて、指をパチンと鳴らした。
「!」
その瞬間、中也の脳内に掛かっていた靄がサッと晴れた。
「お久し振りだね、お兄ちゃん」
「真逆、こんな所で再会とは思わなかったがなァ、アリス」
「!」
目の前の少女と名前を呼び合った中也に驚きの表情を浮かべる広津。
そんな時だった。
「灯台下暗しってこういうこと云うんだねえ」
のんびりとした口調の声が、響き渡った。
全員がそちらの方に注目する。
舌打ちしたのは、中也だけじゃなかった。
「チッ……太宰治……そりゃあそうだよね……」
アリスの表情が、最高潮に険しいものになる。
「手前、今まで何処に行ってたンだよ……」
ジロリと睨みつけた中也だったが、隣に来た太宰が先刻までとは違う匂いを纏っていることに気付き、喧嘩腰に話すのを止めた。
「何だァ?遊び呆けてたンじゃねーのかよ」
「失礼だなー。ちゃんと仕事していたとも。中也と違ってね」
「俺だってしてたっつーの!」
チッと舌打ちする中也。
「で?誰を殺ったんだ?」
血の臭いを纏う太宰に問う。
「広津さんの部下だけど?」
「!」
構成員とはいえ、仲間を始末したと云うのに。
日常会話の延長の様に、太宰はアッサリと中也の質問に答えた。
「へぇ。で?黒幕は誰だ?」
「其れを吐かせる前に死なせてしまったのだよ」
やれやれ、と云いながら溜め息をつく。
拷問に失敗した?こいつが?
「其奴等も拘束中だよ」
中也の思考を読んで太宰は答える。
「成程。拷問を執行していた奴も裏切り者か」
「聞けたのは意味深な事だけ。『俺は言われた通りにしただけだ』ってね。」
「…ってことは」
中也が広津の方をチラッと見やる。
全てを理解したのであろう。広津は太宰の方を見て云った。
「やれやれ。どうやら私も檻に入る側になるようだね」
「悪いね、広津さん。そうしてもらえると助かるよ」
太宰はそう云うと、懐から銃を取り出して、
パァン!!
檻の、少女たちにいる方に向かって発砲したのだった。