第6章 春夏「秋」冬
~ 1年教室 ~
「~・・・って感じで、x=6、y=2になるから、あとは式にあてh・・・」
虎杖「・・・・・・・・・・・・・・・・」
黒板に並ぶ数字と記号を見つめたまま、
虎杖の目が完全に泳いでいる。
シャーペンを握る手は止まり、口は半開き。
その隣で、伏黒は頬杖をつきながらノートに淡々と式を書き写していた。
「・・・・虎杖くん。だ、大丈夫ですか?」
虎杖「どうしよう。全然わかんない・・・もしかして、俺、留年とかある・・・?ねぇ、伏黒ォォォ!」
伏黒「・・・・そもそも、ここで留年っていうシステムがあるのか知らんけどな。」
釘崎「確かに。ってか、そもそも勉強する意味あるのか微妙だよね。みんな術師になるんでしょ?」
「まったく~・・・。素直なんだから・・・。」
くすっと笑いながら、は教卓に軽く腰を預ける。
「そうね~。術師になるとはいえ、ある程度の教養は必要よ~。」
釘崎「確かに。
言われてみれば、七海さんとか一般社会に出てたしね。」
虎杖「ってことはナナミン頭いいのかな・・・」
「証券会社に勤めてたって聞いたから、かなり数字には強いかもねっ。」
和やかな空気が流れる教室。
窓の外では木々が揺れ、お昼の日差しが机を斜めに照らしている。
しかし。
「――はい、じゃあ雑談はここまでっ。
次はこの連立方程式を解いてみよっか。」
虎杖「えっ、休憩時間じゃなかったの!?」
「違いま~す。」
にこにこと笑いながら、容赦なく黒板へ新しい式を書き足していく。
虎杖「うわぁぁぁぁ!!数字が増えたァァ!!」
釘崎「うるさい。」
伏黒「騒ぐ前に手動かせ。」
虎杖「だって意味わかんねぇんだもん!!」
「じゃあ、虎杖くん。この“-2x”を反対側に移項するとどうなる?」
虎杖「え、えっと・・・。」
虎杖(反対側に行っても、“-2x”は“-2x”じゃないの!?)
教室が一瞬静まり返る。
伏黒「反対側に行っても、“-2x”は“-2x”って思ってるだろ」
虎杖「えぇ!?違うの!?!」
釘崎「ばっかね~」
「ふふっ、惜しいっ。」