第5章 記憶×記録
カワウソ呪骸は頭の上で器用にバランスを取っていた。
窓の反射に映るカワウソをみて思わず微笑む。
「ふふっ…かわいいかも」
そのまま部屋を歩き回る。
コップを取る。
本を戻す。
窓を開ける。
すると。
頭上から、
呪骸「ガルルルルル……」
低い威嚇音。
「おっと、失礼しました・・・」
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昼食を終えたあとも、
主人公は変わらず呪力コントロールを続けていた。
頭の上には、
すっかり定位置になったカワウソ型呪骸。
時折「ガルル……」と低く唸るものの、
朝ほど勢いよく噛みついてくることは減っていた。
一息つこうとソファへ腰掛けてテレビをつけると、
ちょうど映画が始まるところだった。
TV『真実はいつもひとつ!』
「……あ」
聞き覚えのある声。
画面には、小さな探偵の姿が映っている。
ブランケットを抱えながらぼんやりと画面を見つめた。
しばらくして。
「……名探偵コ○ンって、なんかもどかしいよね」
頭の上のカワウソへ話しかける。
「コ○ンくんが工藤○一だって、気づかないのかな~絶対気づいてるよね。絶対そう。」
呪骸「……」
「絶対あんなに一緒にいたらわかると思うんだけどなぁ」
クッションを抱え直す。
「好きな人だったら、なおさら」
映画が終わる頃には、
外はすっかり夕方へ染まり始めていた。
時計を見る。
そろそろ五条が戻ってくる時間。
主人公はソファから立ち上がり、
キッチンへ向かった。
「……晩ご飯、どうしよう」
冷蔵庫を開けると中は思った以上に空っぽだった。
飲み物。
卵。
トマト。
少しの野菜。
「うーん、、、、」
冷蔵庫のあたりを見回すと、
横に立てかけられていたパスタ麺が目に入った。
さらに棚を見る。
ツナ缶。
コンソメ。
オリーブオイル。
「できるかも」
小さく袖をまくる。
鍋へ水を張り、火をつける。
その間にトマトを切る。
包丁の感覚は、
不思議と身体が覚えていた。
じゅわ、とフライパンへオイルを落とす。