第5章 記憶×記録
朝食を終えたあと。
主人公は五条に連れられ、屋敷の奥にある広い和室へ来ていた。
障子が開け放たれた室内には柔らかな風が流れ込み、
畳の青い香りが微かに漂っている。
そして。
部屋の中央には、妙に場違いなものが置かれていた。
「わぁ!かわいい!」
きゅるんとした目に小さな手。
丸っこいフォルム。
茶色の毛並み。
五条「そっ、ちゃんにそっくりなカワウソちゃんだよ~☆」
どう見ても子供向けの可愛らしいぬいぐるみだった。
五条「この子は、呪骸ね、夜蛾学長から調整してもらったから安心して☆簡単に言うと、“呪力に反応するぬいぐるみ”ってやつ」
五条は呪骸をひょいと持ち上げる。
五条「これに、このくらいの一定量の呪力を流し続ける。で、これくらいの出力を維持したあと、五段階上げて〜……」
ぴ、と指を立てる。
五条「次は五段階下げる。これを繰り返す」
「なるほど……」
蘆屋は真剣な顔で頷いた。
五条はにこにこしながら続ける。
五条「今のちゃんは、蛇口壊れてる状態だからね〜、出力は高いのに制御が雑」
「んん…っ」
否定できない。
五条はそのまま呪骸を蘆屋へ差し出した。
五条「ま、やってみ」
蘆屋は小さく深呼吸をする。
呪骸を両手で持ち、意識を集中させた。
ゆっくり。
少しずつ。
呪力を流し込む。
――次の瞬間。
ボンッ!!
呪骸が膨れ上がった。
「え」
直後。
呪骸「ガルルルルル、、、、ガゥ!!!!」
ガブッ!!!
「いったぁぁぁぁ!!?」
かわいらしいカワウソの呪骸が、
蘆屋の手へ勢いよく噛みついた。
「はーなーしーてーーーー!!!!」
五条「はははははっ!!」
五条がけらけら笑いながら、
五条はようやく呪骸を引き剥がす。