第5章 記憶×記録
~ 次の日 ~
午後の陽射しが、病院の長い廊下を白く照らしていた。
窓の外では、傾き始めた陽がビルの隙間へ沈みかけている。
時刻は15時を少し回った頃。
任務と授業を終えた乙骨たちは、
そのまま病院へ足を運んでいた。
真希「絶対暇してるよな」
先頭を歩く禪院真希が、片手で見舞い用の紙袋を揺らす。
パンダ「派手に倒れたしなぁ」
後ろからパンダが続いた。
パンダ「ゼリー買っといたぞ。あとスポドリ」
狗巻「しゃけ」
隣で頷く狗巻棘。
その少し後ろ。
乙骨は静かに病室番号を確認していた。
乙骨「……ここ、ですね」
足を止めた、その時。
五条「お、みんな来たんだ」
軽い声が廊下に落ちた。
振り返った先。
病室の扉近くの壁に寄りかかるように立っていたのは、
五条悟だった。
乙骨「五条先生」
乙骨が少し安堵したように表情を緩める。
真希はすぐに病室へ視線を向けた。
「……あれ、寝てんのか?」
扉の小窓から見える室内には、誰の姿もない。
ベッドだけが静かに置かれていた。
五条「ちゃんならここにはいないよ」
五条はいつものように笑っていた。
けれど、その笑みはどこか薄かった。
五条「ちょっと面倒なことになってねぇ」
その一言で、パンダが眉を寄せる。
パンダ「面倒って?」
五条は軽く肩を竦め、窓の外へ目を向けた。
西日が白銀の髪を淡く透かしている。
五条「今回の件、上層部にかなり目ぇ付けられちゃってさ」
真希が露骨に顔をしかめた。
真希「……は?」
五条「蘆屋家の生き残りが宿儺と干渉した――とかなんとか。まぁ、いかにもジジイ共が好きそうな話でしょ」
五条の声は軽い。
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『やはり危険因子だったか』
『いや、よせ……痛ましい過去だ』
『しかし監視は必要だ』
『宿儺との相性が悪い可能性もある』
『それは宿儺にとって都合が良いということだ』
『六眼が許さんだろう』
『ならば、せめて監視下へ置け』
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五条は続ける。
五条「……ってことで、しばらく高専には戻せなくなった」
真希が舌打ちした。
真希「ふざけんなよ」
狗巻「しゃけ……」
乙骨「さんは?」
五条「うーん・・・」