第5章 記憶×記録
ピッ、ピッ、ピッ……
心電図モニターの音が、正しく戻る。
主人公の指先が、わずかに動いた。
まぶたが震える。
ゆっくりと、目が開く。
ぼんやりとした視界の中で最初に映ったのは、白い天井ではなく
──窓の外の月だった。
「……夜?」
掠れた声。
喉の奥に何かが引っかかっているような、不安定な発音。
視線が、ゆっくりと横へずれる。
そこに立っている男を認識するまで、数秒かかった。
白髪。
目隠し。
「……誰」
五条は少しだけ目を細めた。
五条「起きたね」
いつもの軽い声。
だけど、どこか観察するような静けさが混じっている。
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五条「ここ、何処かわかる?」
主人公は答えようとして、言葉が出ない。
「・・・・。」
静かに首を横に振る。
五条「まったく・・・君は二度も手がかかる子だね。」
少し間を置いて、ふっと口元を緩める。
五条「・・・焦らなくていい。ゆっくり思い出すといい。あ、僕はね~……五条悟。君は僕の大切な人なんだよ。」