第6章 春夏「秋」冬
※少々R18表現がありますご注意ください。
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蘆屋は何も答えない。
ただ静かに直哉を見返していた。
そんな反応すら面白いのか、
直哉は頬杖をついたまま視線を細める。
そして。
ゆっくりと。
本当に舐め回すみたいに、上から下まで・・・
品定めするような視線。
無遠慮で、不快なほど露骨な目に蘆屋の眉がわずかに寄る。
直哉はそれを見て、ふっと口角を上げた。
直哉「……へぇ。」
低く笑う。
直哉「もしかしたら、真依ちゃんより良さそうやなぁ?」
「……。」
直哉「なぁ、先生?」
蘆屋はただ静かに羽織っていたスーツのジャケットへ手を掛ける。
直哉の目が細くなる。
衣擦れの音だけが、やけに静かに響いた。
ゆっくりとジャケットを脱ぐ。
それから。
静かに視線を上げた。
真っ直ぐ。
「……サイン、して頂けますか。」
直哉「ははっ、ええで」
直哉がサインをしたのを確認して
は小さく息を吐く。
そして、畳を踏みしめるようにゆっくり直哉へ歩み寄った。
直哉は動かない。
ただ興味深そうに、その姿を眺めている。
距離が縮まる。
手を伸ばせば届くほど近くまで来たところで、蘆屋は静かに腕を上げた。
白い指先が、直哉の首元へ触れようとする。
その瞬間。
直哉の手がぐっと手首を掴んだ。
「……っ」
引き寄せるように、自分の方へ。
不意に崩れた距離に、畳がわずかに軋む。
直哉は蘆屋の手首を掴んだまま、見上げるように目を細めた。
口元には愉快そうな笑み。
直哉「なかなか物分かりがええ先生やな。」
低く甘い声音。
蘆屋を試すような色が滲んでいた。
ただ静かに直哉を見返す。
直哉「……どうせなら、たのしみぃや。」
低く落ちる声。
その言葉と同時に、直哉が蘆屋の腕を軽く引いた。
不意に縮まる距離。
息を呑むより先に、唇が触れる。
最初は、軽く。
試すみたいな口づけ。
けれど直哉はすぐには離れない。
触れたまま、ゆっくり角度を変える。
「……っ」
浅く息が漏れる。