【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第7章 5
爆豪と別れた後、パトロールへと街に繰り出した透。
ボヤ騒ぎの鎮火を助け、万引き犯を制圧し、重い荷物を抱えた老人の手を取る。ヒーローとしての責務を全うし、夕刻の風に吹かれていた時、その男と鉢合わせた。
「……あれ。轟くん、この前ぶり。」
轟焦凍の左手から、微かな残り火が揺らめいて消える。彼もまた、任務の最中であったらしい。
「ああ。……怪我をしたと聞いたが、もういいのか。」
「うん。完治。思ったより時間はかかっちゃったけどね。」
安心させるように笑ってみせる。だが、轟はじっと透の瞳の奥を覗き込むように見つめ、僅かな沈黙の後に言った。
「そうか。……そういえば、この前の夜、見かけた。」
何気ない一言のようでいて、そこには確かな意図が含まれているように聞こえた。
「ん? どこで?」
「コンビニの帰りだ。爆豪と一緒だっただろ。」
透の首筋を、嫌な汗が伝う。
「あ……。轟くんもあの時、コンビニにいたんだ。声かけてくれたら良かったのに。」
「邪魔しちゃ悪いと思ってな。」
首を横に振る轟の言葉に、心臓の鼓動が跳ねる。
あの夜、自分たちがどれほど無防備な距離感で歩いていたか。轟の瞳には、それがどう映ったか。
「……爆豪くんとは、偶然会っただけだよ。」
言い訳じみた言葉。それに対し、轟は追及するわけでもなく、ただ淡々と、事実だけを積み重ねていく。
「……俺の家と爆豪の家は、近い。お前、あいつの家にいたのか。」
透は言葉を失った。