【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第6章 4
その日の夜、爆豪はふと目を覚ます。隣にいるはずの透がいない。
目を開けた瞬間、隣の冷たさに気づいた身体が勝手に動いた。
寝室の扉は開けっぱなしで、トイレの方から一筋の光が漏れている。同時にくぐもった音も聞こえる。
トイレの前まで来て足が止まる。微かに聞こえてくるのは——嘔吐の音。
扉の横の壁に背を預け、拳を握る。開けるべきか、待つべきか。
トイレの中の透は、肩を震わせ、啜り泣く。口元を拭い、水を流した。手を洗い、痕跡を消すように周りを綺麗にする。
水が流れ、静かになって——ドアが開いた瞬間、爆豪がそこにいた。
廊下の薄暗い照明の中、二人が向かい合う。透は口元を手で押さえ、下を向いたまま。
爆豪は何も聞かなかった。「大丈夫か」も「どうした」も言わない。ただ無言で透を抱え上げ、ベッドまで運んだ。毛布をかけ、その横に座って——冷たい手を取った。
透は抵抗せずにそのまま抱きつき、涙のシミを少しだけ残した。
その背中を爆豪がさする。何も言わずに。ただ手だけは止めない。
その温もりに安心して眠りにつく。こうした日々がしばらく続いて、だんだんと吐く頻度が落ち着いてきた。
一週間が経った頃には、夜中にトイレへ駆け込む回数は二、三日に一度あるかないかに減っていた。